イチローが松坂大輔にしていた苦言とは？

1998年夏の甲子園大会。この年センバツ・選手権大会と連覇し、秋の明治神宮大会まで新チーム以降の公式戦を無敗で終了した高校があります。

その時、背番号１のエースナンバーを背負い、チームを勝利に導き続けた男がだれか、ご記憶でしょうか。

その男は、その年ドラフト1位で西武に入団後、華々しい活躍を見せてメジャーリーグに移籍。2006年と2009年のWBCでは連続してMVPを獲得するなど、日本球界の宝でした。

しかし、その男は2015年シーズンから日本球界に復帰後、2年間の間に全くチームの力になれずもがき続けています。その男の名前は松坂大輔です。

夏の甲子園ではPL学園と延長17回の死闘で250球を投げぬき、翌日も救援登板、3連投となった決勝戦でノーヒットノーランの離れ業を演じるなど、近年の日本球界を語るうえでなくてはならない存在です。

しかし、メジャーリーグ移籍後、右肘・右肩に爆弾を抱え、苦しいシーズンが続いています。賢明なリハビリ、練習を重ね2軍での登板も1試合に終わった2015年に対し、8試合に登板し着実に復活への階段を上ってきました。

そして、2016年10月2日、日本球界復帰後1軍初登板を迎えました。しかし、現実は残酷ですでにBクラスが決まっていた楽天を相手に8回の1イニング被安打3、4四死球、打者一巡の猛攻を浴び5失点と大炎上。

好投で期待されたクライマックスシリーズでの登板も消滅し、再び2軍で復活への足掛かりを探ることになったのです。日本球界で108勝60敗1セーブ、防御率2.95の成績。

メジャーリーグで56勝40敗1セーブ、防御率4.45、通算で164勝を挙げた男はなぜここまで低迷してしまっているのでしょうか。そんな松坂大輔に対して、暗に警告を発していた男がいます。

それは、今年日米通算4257本のヒット、メジャー3000本安打を達成したイチローです。イチローと松坂は、松坂がプロ入りした1999年に松坂西武ライオンズ、イチローオリックスブルーウェーブの間で初対戦を迎えました。

そのときは松坂が1四球3奪三振とイチローに完勝し、ヒーローインタビューで「自信が確信に変わった」という名言を残したことで有名となり、それ以降平成の名勝負として日本だけではなくアメリカでも数々の対戦を繰り広げていました。

そんな二人が初めてチームメイトとなったのが2006年のワールドベースボールクラシック日本代表に選ばれた時です。当時イチローは日本代表における不動の切り込み隊長として、松坂は日本代表のエースとして大車輪の活躍が求められていました。

初の野球世界大会を目前にした福岡合宿でイチローは松坂大輔に対し、「深いところで野球をなめている」「打たれてもなめている」などの苦言を呈したのです。イチローは野球に対し、常にストイックに自分を追い込み続け練習をしています。

それが43歳を超えた今でもシーズン3割近い打率を残すことができる要因となっています。一方、松坂は高校時代「さぼりのマツ」と呼ばれた時期もあるほどで、西武時代、メジャーリーグ時代からその太りやすい体質と自己管理の甘さ。

それは、度々報道されプロ野球OBからも苦言を呈される対象となっていました。イチローは松坂大輔の才能を誰よりも認め、そして彼を自身のライバルとして認めているからこそ、松坂大輔に対しあえて苦言を呈したのです。

期待しているからこそ自己管理の大切さや危機感をあおったのではないでしょうか。残念ながらイチローの金言は今の松坂大輔には届かず、体は大きくなり続けそれが原因となり故障も多く発生する選手になってしまった松坂大輔。

3年契約とも4年契約ともいわれるソフトバンクとの契約期間ももう折り返し地点に差し掛かっています。今こそ、松坂大輔には昔のイチローの金言を思い出し、また輝かしい活躍を日本球界で見せてくれることを願ってやみません。

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